●浜川皓マンション改修Q&Aバックナンバー<1〜22>


Q1: 大規模改修や設備改修を進めるに当り「総合リフォーム」とは、
   どのような方法でしょうか?


A1:どんな立派なマンションでも経年劣化は宿命です。機能・性能の低下は避けることは出来ません。ご承知のように建物に使用されている材料は、多種多用で劣化の速さや程度は部位・部材によって自ずと違ってきます。部位・部材の耐用年数を25年以上先まで予測し、耐久性の限界を知り計画的に行う計画修繕をまとめたものが「長期修繕計画」です。

 しかし、この「長期修繕計画」の通りに改修を実施するとなると、部位・部材の耐用年数の違いから毎年何かの工事を行うはめになります。よく「パッチワーク修繕」と言われる状態が発生し、毎年手間が掛かり役員も苦労することになります。

 さらに費用の点でも、大規模改修工事が大掛かりな足場などを仮設する必要があることから部材の修繕周期ごとに何度も足場を仮設することは不経済ですし、工事金額も細切れ発注になりスケールメリットも生じません。

  設備改修でも同じことが考えられます。これらの不都合を解消するためには管理組合の運営上、工事実施時期を同じ年にするなど修繕周期のバランスをとることが必要です。このような視点から、煩わしさの解消や改修費用を合理化する目的で行う計画修繕を「総合リフォーム」と称しています。

 なお、マンションの一生涯に行う改修回数を少なくし、トータルメンテナンスコストを抑えるためには次回改修までの期間を長くしたいものです。


Q2: 設備配管改修の「総合リフォーム」とはどのような視点でしょうか?

A2:マンションの設備配管には給水管・雑排水管・給湯管・汚水排水管・雨水排水管・ガス管等があります。それぞれ部材、部位によって耐用年数が違います。一般的には圧力がかかる給水管や高温の給湯管等が劣化が早く、竣工後20年経過したころから管の交換が始まると言われます。雑排水管等は30年前後といわれています。共用部分も専有部分も材質が同じなら耐用年数に差は有りません。

 改修は、たて排水管やたて給水管は共用部分ですから管理組合が行いますが、室内の横引枝管は専有部分ですから原則、区分所有者が行うことになります。しかし、たて排水管が住戸内の奥の狭いパイプスペースの中に配管してある場合や、雑排水横引枝管がコンクリートの床スラブ下で下階の天井裏に配管されている場合は共用部分に当るという最高裁判決(平成12年3月21日、判時1715号)もあり、共用部分の改修にも係らず専有部分を取り壊すことになります。

 リフォームしたばかりの高価な内装の解体・復旧費の負担はだれが持つのか?
 工事中は上階の排水が出来ない、排水中断が長い、騒音が激しいなど居住者の生活上に支障が生じその改修工事には様々な問題点が発生します。また、給水設備でお薦めしたいものに直結増圧給水方式があり「さや管ヘッダー方式」を採用するマンションも増えています。これも床を剥がしての改修となり居住者の負担が生じます。

 しかし中には計画的に改修を行うことで、専有部分のバリヤフリーを設備配管改修と同時に実施し負担を軽くする居住者も見受けられます。すなわち設備配管をトータルに改修する「総合リフォーム」の視点が大切ということになります。

 費用の負担は、共用部分でも専有部分でも区分所有者が負担することに変わりはありません。工事中の負担も長いマンションの一生の中での僅か一週間程の辛抱です。お互い協力しマンションの寿命を延ばしましょう。


Q3:分譲マンションの排水管の共用部分と専有部分の境は何処でしょうか?

A3:区分所有法第2条第4項には「専有部分に属しない建物の付属物を共用部分」と定めています。また、マンション標準管理規約(単棟型)第8条には共用部分の範囲として、「対象物件のうち共用部分の範囲は別表第2に掲げる通りとする」と定め、規約で定めることが出来るとしています。

 以下の最高裁判決等を参考にして、管理規約の中で共用部分の範囲を略図などで明確にしましょう。

[参考例] 床下コンクリートスラブと階下天井板との間の空間に設置された階上者専用の排水管の枝管は「専有部分に属しない建物の附属物」にあたり、区分所有者全員の共用部分にあたる。(最高裁判決 平成12年3月21日)

本件排水管は、コンクリートスラブの下にあるため、707号室及び708号室から本件排水管の点検、修繕を行うことは不可能であり、607号室からその天井板の裏に入ってこれを実施するほか方法がない。

 この事実関係の下においては、本件排水管は、その構造及び設置場所に照らし、建物の区分所有等に関する法律第2条4項にいう専有部分に属しない建物の付属物に当り、かつ、区分所有者全員の共用部分に当ると解するのが相当である。


Q4:設備配管改修決議は、過半数ですか、それとも4分の3以上の賛成ですか?

A4:区分所有法第17条「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数決議(以下「特別多数決議」という)で決する。と定めています。

 計画修繕には、大規模改修と設備配管改修がありますが、設備配管改修に限れば水道給水方式の変更や配管の露出配管方式の採用等は特別多数決議が必要と思われます。

 これらの改修は、共用部分の工事でありながら専有部分の天井や壁を撤去復旧したり、室内の給排水枝管の交換などで在宅が必要となることが発生します。工事の進め方はいずれも縦系列ごとになりますので工事をスムースに進めるためには、縦系列の居住者全員の協力が必要です。

 管理規約上、反対者がいても総会の決議で工事の実施はできますが可能な限り全員の理解を得るように説明会や臨時総会を多く開き、全員の理解を得るように努力しましょう。建物は丈夫になったがコミュニティは壊れたのでは泣くに泣けません。



Q5:外壁の磁器質タイル等の「深目地仕上げ」は禁止されていると聞きましたが?

A5:平成元年11月に北九州市で発生した外壁タイルの落下による人身事故を受けて、平成2年5月19日、建設省(現国土交通省)は、外壁タイル等の落下防止のために住宅局建築指導課長通達でタイル目地の「深目地」及び「突き付け目地」仕上げを禁止しました。

 外壁タイル等の「深目地仕上げ」とは目地詰モルタルを少なくして外観の意匠性を重視した仕上げ方法で、目地深さがタイル厚さの2分の1以上のものを言います。第1回大規模修繕工事等で時々見受けられます。

 普段から外壁タイルの白華、浮き、膨れ、剥落など注意するとともに、大規模改修時にはタイル全面の打診を行い不具合箇所は全て補修することをお薦めします。

 なお、タイルの浮きの改修方法は、「注入口付アンカーピンニング樹脂注入タイル固定工法」通称(タイル脳天打ち)が一般的で、タイルの膨れが激しい場合は新たにタイルを交換することになります。



Q6:大規模修繕を実施するに当り請負業者の建設業法上の責任を教えてください。

A6:建設業法
第19条2 「現場代理人の通知」
 請負業者は、契約の履行に関し現場代理人の権限等書面にて注文者に通知義務があり注文者は監督者を置く場合は、請負者に書面で通知しなければならない

第21条
 注文者は前払いする契約が成された時は、保証人を立てる事を請求することが出来る。
※公共工事では西日本建設業保証株式会社の保証書が一般的です。民間工事では、請負業者は工事完成保証会社を付けることを嫌いますし、指名業者相互の工事保証はトラブルのもとです。また、損害保険会社による履行保証保険書等は戸建て以外扱っていません。一般には前払いは無く完成後の支払いです。

第22条第1項・第3項 「一括下請けの禁止」
 ・建設業者は請負った建設工事を一括して他人に請負わせてはならない。
 ・建設業者が請負った建設工事を一括して請負ってはならない。

第26条第1項・第2項 「主任技術者及び監理技術者の設置等」
 請負業者は、請負った工事を施工する場合は必ず現場に主任技術者を置かなければならない。(1級国家資格者・2級国家資格者・実務経験者)
 また、元請で3,000万円(建築一式工事で4,500万円)以上を下請契約して工事を施工する場合は、監理技術者を置かなければならない。

(1級国家資格者・建設大臣特別認定者・実務経験者)
 ※建設業の許可を受けている建設業者が請負工事を実施する場合、請負金額の大小又は元請・下請に係らず建設業法上、主任技術者を配置する必要があり、主任技術者になるためには建築仕上げの分野では2級建築施工管理技士(種別仕上げ)以上の資格取得が必要です。
 ※現場代理人と主任技術者は兼務できます。

建設業法施行令第1条第2項  「建設業の許可を受けなくて良い軽微な工事」
(1)建築一式1,500万円未満の工事
(2)建築延面積150m2以下の木造住宅
(3)建築一式工事以外の500万円未満の工事



Q7:屋上防水の欠陥は、立上がり面に多いと言われていますが、具体的にどのような問題があるのでしょうか?

A7:パラペット立上がり面の欠陥は平場面に比べて数倍の欠陥が発生します。


  1. 水切り不良
    あご下に水切り(溝)が無いため、あごの下端に伝わった雨水等が防水層の末端部からその裏側へまわってしまい漏水します。

  2. ラスモルタル仕上げ
    ラスモルタルは亀裂が入り易く、また、剥離しやすいため、その動きの時にトンボによって拘束されている防水層が一緒に剥離されてしまう場合が多く漏水の原因になります。
    ラスモルタル仕上げは採用してはいけないと言われています。防水施工業者の保証も受けにくい工法です。

  3. 裏込めモルタルがない
    煉瓦の裏込めモルタルが無く、また、防水層の押え金物等もない場合には立上がり面の防水層が、だれてしまう場合があります。

  4. 立上がり面のみ露出
    床保護層の動きやアスファルト防水層の伸びなどによって、砂付ルーフィング仕上げが、だれたようなシワが入り易くなります。

※公共建築改修工事標準仕様書(国土交通省営繕部監修)では、立上がり部の防水層は改修時には撤去することとしています。



Q8:マンションの大規模改修を進めるに当り、現場に、改修に関する有資格者を常駐させるのが良いと聞きますが、どのような資格が有りますか?

A8:建築改修工事における施工水準を確保して、設計図書に定める品質に建築物を改修するためには、建築物の劣化損耗に即した最も適切な材料・工法の選定や、現場の事情を十分加味した施工計画、工程計画の立案が必要であり新築工事の場合とは異なった難しさがある。

 したがって、これに携わる技術者は、改修工事全体を総合的に把握し、改修技術の専門的知識を活用して最適な改修工法を実施できる能力を持つものでなければならない。

 この能力を持つ者として、平成9年(社)日本建築学会が策定した「コンクリート造建築物の耐久性調査・診断および補修指針(案)」では

◇ 一・二級建築士  
◇ 一・二級建築施工管理技士
◇ コンクリート主任技士及び技士
◇ 建築仕上診断技術者
◇ 建築仕上げ改修施工管理技術者


が適任であるとしている。(国土交通省営繕部監修「建築改修工事監理指針」より)

 この指針は公共建築物に適用されるものですが、一般民間マンションの大規模改修にもこれらを参考にご判断ください。

※一・二級建築士、一・二級建築施工管理技士は、
 建設業法に定める主任技術者に選任することが出来ます。



Q9:マンションの外壁塗装改修に使用する塗料について教えてください。

A9:選定に当り、オールマイティの塗材・塗料は有りません。
 分譲マンションの外壁には、「吹付けタイル」と呼ばれる複層仕上げ塗材が多く採用されています。

 民間のこの改修工事では、塗膜の劣化状態を判断した上で、既存塗膜の表面に下地調整材(フィラー)やシーラーを塗りつけ(下塗りと言います。)、トップコート2回塗り(主材と仕上げ材を兼ねさせる)で仕上げる工法が多用されています。

 今回はそのトップコートについて述べます。


  1. 塗料の種類

    アクリル樹脂塗料:塗替えの目安は6〜7年です。比較的安価な塗料で、既存マンションの新築時にはこの塗料を多用しています。

    ウレタン樹脂塗料:塗替えの目安は8〜10年です。付着性に優れ、仕上り観、耐久性もアクリル樹脂塗料より優れています。

    シリコン樹脂塗料:塗替えの目安は13〜15年です。耐熱性、耐候性に優れ高い耐久性があります。近年広く使用されるようになって来ました。

    フッ素樹脂塗料:塗替えの目安は15〜20年です。耐候性、耐久性に優れますが高価です。

※シリコン樹脂塗料でも値段にピンからキリまであります。純度の高いシリコン樹脂塗料は次回改修時に上塗りが難しいため塗料にアクリル樹脂を混合しているといわれこの配合割合がメーカー各社の特徴になっています。近年、セラミックシリコン樹脂塗料や光触媒チタン塗料など新しい塗料も開発されています、メーカーにご相談ください。

※大規模修繕を行う場合は足場等仮設費用に多額が掛かりますので、建物の部材の修繕周期ごとに何度も足場を仮設することは不経済です。他の部材の修繕周期も考えてバランスを取り塗料を選定します。

※躯体補修の良し悪しが、外壁塗装の耐用年数を決めます。コンクリートのひび割れや爆裂など下地処理を念入りに実施します。



Q10:工事監理者とは、どのような役割を担っているのでしょうか?

A10:工事監理者は建設工事を進める上で非常に重要な役割を担っていて、独立性を求められます。

 建築生産システムでは、各プロセス毎に、発注者・設計者・工事監理者・元請施工者・専門工事業者・メーカー等、多くの組織や人々が参画し、加えて現地生産という特徴があります。そして、それぞれの参加者が、互いに情報交換して協力しながら建築物が出来上がります。

 工事監理者の役割は、建築士法第2条6項「工事監理とは、その者の責任において工事を設計図書と照合し、それが設計図書の通りに実施されているかいないかを確認することを言う」と定めています。

 しかし発注者の視点で見れば、最も大切な役割は、発注者の意図する品質要求基準を施工者に伝え、逆に施工者の設計図書への疑義や施工者が持っている改良提案などを発注者に伝える「繋ぎ役」であり、発注者は工事監理者に「繋ぎ役」を要求しているのです。

 品質管理については元請施工者や専門工事業者が責任を持つことは当然であります。工事監理者の役割は非常に多種多様であり、毎日現場の状況が変化しますので多くの工数が掛かることから、近年、分譲マンションの価格競争に巻き込まれ、工事監理費用が合理化対象となってきています。

 工事監理への軽視の現実があります。しかし、先の耐震偽装事件を始めとして建物不具合のトラブル数が依然として減少しないのは、工事監理の軽視が理由の一つと考えられます。

 設計と工事監理は業務内容が異なることから、米国では設計者は工事監理を行っていないと言われ、マンション大規模改修でも独立した工事監理者の起用が望まれますし、今後、独立した専門家の出現が早く望まれます。



Q11:マンションの外壁塗装改修の塗装工程について教えてください。

A11:塗装工程は以下の通りです。

  「塗装工程」


  1. 下地処理

    躯体性能の回復が目的で、素地面(コンクリート系・金属系・木質系)の躯体劣化・損傷部の補修と、塗装仕上げの為の下地調整とに分類され、総称して下地処理と言います。

    ただ、コンクリート面なら、ひび割れ・欠損・爆裂等の補修を、金属面の場合には錆部、腐食部の撤去や溶接、油類の除去等だけを下地処理といい下地調整と区別して使用されることもあります。

  2. 高圧水洗浄

    下地清掃のことで、既存劣化塗膜の除去や汚れ落し・付着物除去等を120~200kg/cm2の高圧水で洗浄する作業です。下地調整の一部分です。

  3. 下地調整

    下塗りともいい、塗装仕上げの為の「前」作業です。セメント系下地では、下地処理や高圧水洗浄を行った後、下地調整塗材のフィラー、吸込み防止材のシーラーや樹脂モルタルなどのパテで下地調整塗りを行います。

    金属系下地では、ケレングレードに基づいたケレン(1種ケレン〜4種ケレン=素地調整)を行った後、錆止め塗料で下塗りします。

    ※ シーラー: 厚みが付かず旧塗膜に染み込ませて固め、
            上塗り材との密着をよくするための塗料。
    ※ フィラー: 厚みが付き、旧塗膜の凸凹をカバーする働きを持っています。
            厚く付く分、塗装表面が別物のようになります。

  4. 上塗り塗装

    上塗り塗装は、通常2回同じ塗料で塗装して仕上げます。上塗りの1回目と2回目の色を少し変えて塗装することで膜厚が確保されます。

    又「吹き付け塗装」と「ローラー塗り」ではローラー塗りの方が、確実に手でローラーを転がして塗装するので塗膜の均一性がより保てます。


Q12:マンションの外壁改修で、タイル張り仕上げの劣化やコンクリート躯体のひび割れ・浮き・爆裂等の補修数量はどのように算定するのでしょうか?

A12:主に二つの方法が採用されているようです。

 設計数量及び請負金額を精算する方法と精算しない方法です。外壁のタイル張り仕上げやコンクリート躯体の劣化状況は、地上から目視しただけでは正確なことは判断できません。

 正確に劣化状況を判断するには足場を仮設した後に足場に上り、外壁に近づいて目視や打診、又はひび割れ幅等を実測し診断することが必要です。

 普通、設計事務所が算定する数量は、足場の無いときにベランダから手の届く範囲で打診し、過去の実績等を参考に全体の数量を推測し採用しているようです。

 精算方法とは、このようにして算定した当初設計数量を足場仮設後に実測し精算し請負金額もそれに応じて増減させるやり方です。手間がかかります。

 精算しない方法は、当初設計数量が増減してもそれに対応して請負金額を増減させないやりかたです。手間が省けます。

 しかし、手間がかかっても精算する方法を採用したほうが組合員の合意形成には役立っています。



Q13:マンションの大規模改修が完了しようとしています。請負業者に工事報告書の提出を求めたいのですが内容について教えてください。

A13:工事報告書(引渡書類)は工事完了時に請負業者から提出してもらう大切な書類です。竣工検査(現場検査・書類検査)を実施し、手直し等が完了した時点で工事報告書を正式に提出してもらいます。

 全てが完了したことを管理組合で確認のうえで「工事完了確認書」を請負業者に渡し建物の引渡しが完了します。

 工事報告書の主な内容は以下の通りです。


  1. 工事件名

  2. 工事請負契約上の書類

    ・着工届、現場代理人届・主任技術者届、施工計画書、施工要領書
    ・工事実施工程表、竣工届、竣工引渡書、完成支払請求書

  3. 維持管理上の書類

    ・契約書写し、工事請負金額清算書
    ・「瑕疵」処理担当責任者の通知、瑕疵保証点検計画書
    ・各種「瑕疵保証書」
    ・工事記録写真、主要仕上げ材料リスト、色彩計画書
    ・各種試験成績書、アンケート自主検査結果(工事完了確認アンケートを含む)
    ・専門業者リスト、打合せ議事録

  4. 官公署への届出書類

    ・水道局、消防署  (無い場合は不要)


Q14:大規模修繕工事の総会決議内容について?

 マンション標準管理規約の第48条6号には「第28条第1項に定める特別の管理の実施、並びにそれに充てるための資金の借り入れ及び修繕積立金の取り崩し」は総会の決議を得なければならないと定めています。

 総会決議内容の留意点について教えてください。


A14:大規模な計画修繕工事の内容、資金調達等の内容が固まり、計画案がまとまれば、いよいよ総会に諮って組合員の賛否を問うことになります。

 貴重な修繕積立金を取り崩しての大工事ですから、総会の前に設計案の説明会を開催したり、設計案資料を配布したりして十分に組合員が設計内容を理解するように努めましょう。

 この議案を定時総会で諮る場合もありますが、定時総会は議題が多く時間がかかります。別途に臨時総会を開催して決議するのも一つの方法です。

 総会での決議内容の留意点は以下の通りです。

1.工事の内容
2.工事工期
3.工事費用(工事請負金額)
4.費用の調達方法と、借入金が必要の場合は各戸の負担予定額、返済方法
5.施工会社の選定
6.その他工事に関する事項等


 また、借入金が発生する場合は、管理規約の費用の負担項目に整合性があるか内容をよく点検しておきましょう。



Q15:シーリング改修工での注意点は?

 打ち継目地やひび割れ誘発目地にシーリング防水を施しシーリング材表面に仕上げ塗材又は吹付け等を行う場合があります。注意点を教えてください。


A15:原則的にシーリング材の上には塗装をしてはなりません。施工手順からみれば塗装してからシーリングを充填すれば問題ありません。

 しかし現場では塗装する前にシーリング材が充填され、後から塗装する場合もよく発生します。

 このケースでは、シーリング材を養生して塗装するには手間が掛かりすぎるので、シーリング材保護をかねてシーリングの表面を塗装してしまうこともあります。

 この場合、
(1)シーリング材上の塗膜が割れたり、膨れるなどして剥れる。
(2)シーリング材表面の塗膜が汚染・変色するなどの事故が発生したりします。

 シーリング材は弾性だから当然動きがあります。塗膜はこの動きについていけないと割れるのです。これらの不具合を防ぐには、比較的塗装に適したシーリング材、例えば2液形ウレタンシーリング材や2液形変性シリコンシーリング材が良く使われます。

 ただし、前述の条件を満たしていても膨れたり割れたりすることがあります。原因は、まずシーリング材の養生不足です。種類やメーカーによっては性質が異なるのでメーカーの指導する養生日数を厳守して塗装をすることが大切です。



Q16:水道法に定める給水装置とはどのようなものでしょうか?
   マンションに設置されている装置を例に教えてください。


A16:水道法第3条第9項には「需要者に水を供給するため、水道事業者(水道局)の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう」と定めています。

 貯水槽式なら公道の配水管分岐より受水槽への最後の給水栓までを言います。この範囲が、水道法が適用される給水装置です。マンションに設置される受水槽以下の下流側の炊事・洗濯・便所などの給水栓までは、給水装置とは言いません。

 これらは貯水槽水道といい、水道事業者および貯水槽水道の設置者(マンション管理組合)の責任を明確にすることが定められています。

 また水道法第16条の2に「水道事業者は、給水区域において給水装置工事を適正に施行すると認められる者を、‘指定給水装置工事事業者‘と指定し、この指定を受けた業者が施行した給水装置に給水できる」と定めています。

 さらに、この指定を受けるには給水装置工事主任技術者(国家資格)を選任しなければなりません。言い換えれば、給水装置工事主任技術者を選任している指定工事業者でなければ給水装置工事を施行することが出来ないことになります。

給水装置工事主任技術者の職務は以下の通りです。

(1)技術上の管理
(2)従事者への技術上の指導監督
(3)給水装置の構造および材質が、第16条に基づく政令(第5条)給水装置の構造
   および材質の基準に適合していることの確認


 貯水槽式を直結増圧給水式に給水方式を変更する場合は、配水管分岐から各戸室内の最後の給水栓までが水道法に定める給水装置ということになります。詳細については水道局にご相談ください。



Q17:大規模修繕工事を実施するのに、
   長期修繕計画書に記入してある実施時期や工事費だけを参考に、
   総会提案説明や工事発注の資料に採用する
   理事会が見られますが適正でしょうか?
   他に検討資料は必要ないのでしょうか?


A17:適正ではありません。大規模修繕計画を立てる場合は、実施の2年前に調査・診断を行い工事の必要性を再度検討します。また大規模修繕工事を実施する場合は、設計事務所に仕様書や予算書の作成を依頼し、その改修設計書に基づいて工事費の見積書を徴収しましょう。

 建物に使用されている部位・部材の耐用年数を25年以上先まで予測し、耐久性の限界を知り計画的に行う計画修繕をまとめたものが長期修繕計画書です。

 その目的は、第一に「いつ、どのような修繕を行う必要があるのか」という時期の目安と、第二に「どの程度の費用が必要か」を知り修繕積立金との相関を明確にして長期修繕計画の資金の裏付けとするものの二点です。

 長期修繕計画に使用する修繕周期は、建物の部位・部材の耐用年数がそれぞれ異なることから修繕周期に一定の幅を持たせ、この幅の範囲内を目安として実施を予測してあります。また工事費についても長期修繕計画の作成段階では予測つかないものが有ります。

 近年は建築仕上げ改修に使用する材料や給排水管等で技術開発が目覚しく、耐久性能の高い材料が開発されて来て修繕周期も長くなる傾向があります。早すぎると過剰改修になり修繕費の浪費になります。

 他に検討資料を作らず、長期修繕計画書の内容だけを、そのまま総会に於いて、大規模修繕工事の提案説明や、工事発注の説明資料として採用することは避けなければなりません。

 最後に、長期修繕計画書は、基本的には管理組合の管理する共用部分が対象ですが、室内の給排水横引き枝管などを共用部分とせず専有部分としている管理組合の場合は、専有部分の修繕見込額を備考欄に記入する等して、専有部分の修繕費用は個人負担である旨を区分所有者に啓蒙することをお薦めします。


Q18:理事会が総会で決議するべき事項まで決めています。
   このような権限が理事会にあるのでしょうか。
   理事会は総会で決議された事項のみ執行する機関ではないでしょうか?。


A18:理事会は総会で決議された事項を実施する執行機関です。総会と同じような決議を行うことは出来ません。

 一般的な管理規約に定めてある権限も限定的です。総会で組合員に対して十分な説明をせず、決議内容が不完全の場合等に実施段階で困る為に理事会の権限を越えて決める場合があるようです。

 総会決議のときに理事会で業務の執行し易いように考慮して議案を作成し説明責任を十分に果たすように努める必要があります。

 「マンションの管理の適正化に関する指針」にも以下のように定めています。
 平成13年8月1日施行「マンションの管理の適正化に関する指針」(国土交通省告示第千二百八十八号)

 この指針の中で、管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するため以下のような六項目の必要な事項を定めています。参考にして下さい。

一 省 略

ニ マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本事項

<管理組合の運営>

管理組合の自主的な運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものである。その為、管理組合の運営は、情報の開示、運営の透明化等、開かれた民主的なものとする必要がある。

また、集会は、管理組合の最高意思決定機関である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切に判断が行われるよう配慮する必要がある。

管理組合の管理者等は、マンション管理の目的が達成出来るように、法令等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要がある。

三 省略
四 省略
五 省略
六 省略


Q19:排水管の清掃方法について教えてください。

A19:まず、清掃計画書を作成しましょう。

  1. 清掃計画書

     清掃計画書には下記の項目を記入します。

    1) 清掃目的

    2) 建物概要

    3) 排水配管システム

    4) 高圧洗浄車、洗浄機等の使用機器のメーカー名、能力、タイプ

    5) 清掃範囲、順序(共用部・専有部の後方噴射、前方噴射の別とも)

    6) 清掃前、清掃後の確認写真(確認箇所は管理組合側で指示)



  2. 排水配管の清掃工法

    1) 高圧洗浄方式    : 後方噴射方法、前方噴射方法

    2) ワイヤー方式    : スネークワイヤー方法、ロッド方法

    3) 圧縮空気衝撃波方式 : ウォーターラム方法

    4) 薬品洗浄方式    : アルカリ性洗浄剤、酸性洗浄剤

    ※ 高圧洗浄方式が主流です。しかし、管内を1往復するだけでは十分な清掃はできず、また、屋外会所(桝)より竪管を洗管しようとホースを挿入しても曲がりが少ない等、条件が良くてもせいぜい4階程度までしか上がらず、普通は2階程度上がれば良い方です。
    洗面器は、排水口よりトラップ底までしか挿入していない場合が少なくありません。
    また構造もトラップが洗管ホースの通らないものも有ります。


  3. 清掃手順

    共用部排水横主管 → 共用部排水たて管 →  専用部1階から上階へ → 屋外排水管

    1) 共用部排水横主管の清掃は屋外桝又は掃除口から高圧洗浄の後方噴射方法です。

    2) 共用部排水たて管の清掃は、「後方噴射方法」が洗浄可能な階高に限界があるため、前方噴射ノズルを使用する「前方噴射方法」が適しています。
    たて管に設置した掃除口(3〜4階ピッチ設置が理想)又は、伸長通気管のベントキャップから洗浄ホースを挿入し、一旦ホースを下方に降ろしてから順次、上にホースを引き上げながら水を前方噴射させて清掃を行う手法です。 
    (この項、日本建築設備診断機構「JAFIA」の提案より)

    3) 雑排水横枝管の清掃は、掃除口がある場合は掃除口より、ない場合は排水器具の排水口よりホースを挿入し、排水たて管に至るまで下流へ侵入させながら後方噴射方法で清掃します。(いわゆる逆引き)


  4. 清掃作業のチエック方法

    1) 排水横枝管の清掃では、洗浄ノズルを衛生器具から挿入し排水たて管部まで、しっかりノズルを挿入しているか、又、丹念に清掃しているか。

    2) トラップから挿入して清掃する台所、浴室、洗濯防水パン系統の排水枝管では、清掃時にトラップ部を分解して清掃する場合があるので、清掃後に正しく復旧されているかを確認する。

    3) トラップ部蓋のしめ方が緩いと封水を十分補充できない。又、清掃後にトラップ封水が抜けている場合があるのでコップ2〜3杯分程度の水を流して封水を補充しておく。

    4) 作業終了後に悪臭やトラップの破封、排水管からの漏水が無い事を確認する。

    5) 室内は汚れないように養生を行っているか確認する。

    6) トラップから封水が跳ね出し飛散する危険性があるので用心のために容器を用いて排水口に蓋等をして養生をしておく。

    7) 完成検査のために完成写真を必ず撮り確認する。


  5. 清掃周期

    1) 共用部排水管  → 流し台単独配管          1〜2年 
                流し台、浴室、洗面合流      2〜3年
      汚水+雑排水管 → 流し台、浴室、洗面、トイレ合流  5〜6年
      汚水管     → トイレ単独            不要

    2) 専用部横枝管  
      雑排水管    → 流し台横枝管           1 年
                浴室横枝管            1〜2年
                洗面横枝管            3〜4年
      汚水管     → トイレ横枝管           不要

      ※ 清掃周期が部位毎で違うので、流し台を基準に計画します。


Q20:屋上防水改修を計画していますが携帯用無線基地局が設置してあります。
   防水工事を施工するに当って注意する点を教えてください。


A20:携帯用無線基地局はマンションが高台に存在する場合等の屋上に設置してあるのが多いようです。

 鉄塔の脚を支持する基礎コンクリートや配線ラック(ケーブルを保護している鋼製の箱)や通信用機器の基礎コンクリートなどが設置されています。屋上防水工事を行う場合は配線ラックが施工に支障となりますので携帯用無線基地局の所有者に連絡をとり打合せしますと無償で配線ラックを仮移動してくれます。

 仮移動の方法は、屋上平場面の配線ラックの場合は鋼製箱を解体撤去した後ケーブルだけを裸状態で30〜40cm程、台の上に乗せて持ち上げてくれます。ケーブルの下に空間が出来ますのでこれで防水工事が可能となります。

 また、外壁に縦に設置してある配線ラックは、足場が仮設された後で、鋼製箱を解体撤去しケーブルだけを仮設足場に取り付け支持させて30〜40cmの空間を作ってくれます。これで外壁の塗装工事が可能となります。

 屋上平場面も外壁面も改修工事が完成したら足場解体前に鋼製箱を取り付けて配線ラックを復旧することになります。また鉄塔の基礎コンクリート等はウレタン塗膜防水などで表面を防水します。



Q21:マンションの給水方式を変更したいのですが、基本の手順を教えて下さい。

A21:給水装置とは… 水道法第3条第9項「需要者に水を供給するために、水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具を言う。」 

一旦蓄えた受水槽から以下の貯水槽水道に接続する給水栓等は、水道法でいう給水装置ではありません。

基本計画の作業手順は1)〜4)です。

1)基本調査
工事場所・建物概要・配水管との接合と分岐・道路状況

2)既設給水方式の調査
給水方式
直結式(直結直圧式、直結増圧式)
貯水槽式
直結・受水槽併用式

※直結式は、直結直圧式と直結増圧式に分けられ、直結式には次の特徴がある。
1. 配水管から直接給水し、衛生的である。
2. 貯水槽の法定清掃・法定検査が不要となる。
3. 貯水槽の維持修繕費用が不要になる。
4. 設置スペースが小さくてすみ、省エネルギー型である。
5. 貯水槽が撤去出来て、余裕スペースを有効利用できる。
6. 断水時・災害時に給水確保が出来ない。

※貯水槽式は、水を給水末端の給水栓から受水槽で受けて、その後受水槽の水をポンプにより配水する方式である。次の三通りがある。

貯水槽式
高置水槽式 (揚水ポンプ)
圧力水槽式 (加圧ポンプ)
ポンプ直送式(小規模建物)


3)既設給水管の劣化調査診断
1. 事前調査
2. ファイバースコープによる配管内調査
3. 給水管抜管サンプリング調査
4. 受水槽、高置水槽、機器類の目視調査
5. 概算工事費(共用部分・専有部分の区別)

4)給水方式の決定
1. 直結式か貯水槽式か?
2. 直結式なら専有部分も給水装置となり水道法の対象となる。
3. 貯水槽式なら貯水槽水道は水道法の対象外となり管理組合で決定できる。

※マンションの給水方式の変更は、設備配管をトータルに改修する「総合リフォーム」の視点が大切です。


Q22:受水槽の定水位弁が故障して水が溢れました。
   普段の維持管理上の注意事項について教えてください。


A22:マンションの給水方式には、直結式、貯水槽式、直結・受水槽併用式があります。その内、貯水槽式は水を給水末端の給水栓から受水槽で受けてその後受水槽の水をポンプにより配水する方式です。受水槽の水位制御はボールタップ又は定水位弁によって行われます。

「ボールタップ式」(自動給水器具)

フロートという浮力で水位に応じて上下しこれにレバーによって連結された弁で開閉を行い、水位を制御します(トイレのロータンク等でも使用されています。)しかし、受水槽のような大型タンクの場合には制御力が不足し完全に閉止できないなど欠点があります。

「定水位弁式」(複式自動給水弁)

主弁と副弁(パイロット弁)に分かれ、主弁はタンクの外部で水道本管と接続されパイロット弁はタンクの内部に取り付け、タンク内水位の上下移動によってボールタップが上下しパイロット弁が開閉しその開閉によって主弁が開閉します。

 パイロット弁としては、一般にボールタップが用いられますが電磁弁と電極棒の併用のものもあります。定水位弁は主弁をタンクの外側に設置できるために、保守点検が容易で受水槽の水位制御に広く使用されています。

 受水槽に満減水警報装置を設置すれば、水が受水槽から溢れたとき等トラブルの時に早期に気づき被害が最少に防げます。満減水警報装置を設置するには、定水位弁を電磁弁・電極棒併用式にする必要があり、電極棒を増やせば簡単に警報を発するシステムが出来ます。

 設備の点検は1回/1年の貯水槽法定点検の清掃時に実施してください。その他は専門店にご相談ください。

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